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「春のささくれ」
うららと穀雨のはざま
あの日飲み込んだ
悲しみの種が
春と共に新芽を出した
形を変えて現れた姿に
どんな視線を送ろうか
どんな風に見守ろうか
迷う時間を漂い浮かぶ
また涙を流してしまうと
きっと育つものも育たない
いっそ切り落としてしまおうか…
悲しみの根がより深く育って
その根に足がからまる日が来るだろう
想像してみた
この先に花を見ようものなら
どんなに救われるだろうか
赤い実がつこうものなら
その実を差し出して鳥と共に
どこか高く飛べるんじゃないか
悲しみに悲しみを注いでも悲しみでしかない
あの日一度飲み込んだのは
違う形で昇華させたかったから
喜びと悲しみは並走しながら共にある
浮き足立つ陽気の裏で春はゆらぐ
そんなささくれを持ち歩きながら
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絵と音と言葉のユニット「リペア」。
「こわれたら、はじま り」をテーマに、
クラシカルで静かな曲は開放感と閉塞 感の
両面を持ち、つめたくあたたかい。
リペアは音楽だけでなく、絵本の制作や個展等も
行い活動しています。
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絵 日下明
言葉 谷口有佳